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森保ジャパンに潜む3ボランチ好調の落とし穴。存在感が強まるほど増していく今後の不安 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

「(3人が組む)一番のメリットは、誰がどのポジションをとっても違和感なくプレーできること」とは遠藤だが、状況に応じて自分の立ち位置をそれぞれが見つけられるのが、彼らの強みだ。急造トリオとは思えないほどスムーズな連係を確立し、試合中にも適宜修正を施している様子が見てとれる。

 とはいえ、3ボランチの熟成は、チーム全体の戦い方が定まってきた結果というより、彼ら自身の感覚に頼っている部分が大きい。

 それどころか、むしろチーム全体のバランスの悪さは相変わらずで、そこを彼ら3人のアドリブで整えてもらっている、と言ったほうが正しいのかもしれない。

 言い換えれば、彼ら3人のうち誰かひとりでも欠けた場合、代役を見つけるのは極めて困難な状況になってしまう。試合ごとに彼らの頼もしさが増していく一方で、替えが利かなくなる不安も増しているのではないだろうか。

 とりわけ顕著なのは、左サイドのケアである。

 左FWの南野拓実が中に入りたがるため、空いたスペースに左サイドバックの長友佑都を押し出そうと、中盤のひとりが低い位置に落ちるのだが、だからといって、南野と長友がうまく連係できるわけではないため、高い位置にも誰かがサポートにいきたい。

 そうなると、ゴール前には入っていけなくなるし、ゴール前に誰かが入れば、今度は後ろが薄くなって、カウンターを受けるリスクが生じる。

 ならばと、今度は後ろに人を残せば、必然的に高い位置で攻撃に絡む人数は少なくなり......といった具合で、左サイドにひずみが生じているがゆえに、中盤3人は状況に応じて的確な判断をしたうえで、膨大な仕事量をこなさなくてはならなくなっているのだ。

 そんななかでも、彼らは「守備の感覚が似ているので、互いに補完し合いながら前に人数をかけにいける」(守田)と前向きに捉え、どうにか対応してくれてはいる。だが、どんなに気を利かせようとも、人数が限られている以上、やれることに限界が見えてきているのも事実だろう。

 ボートに開いた穴を放置したまま、オールで漕ぎ、漁をし、そのうえ、入ってきた水までかきだせ、というのでは無理があるというものだ。

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