加地亮が選ぶ日本人SBベスト10。内田篤人や長友佑都より強烈な選手がいた【2021人気記事】 (2ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

8位 登里享平(川崎フロンターレ)

 登里選手は、とにかくうまいですね。ビルドアップで中盤の役割もできるし、あがっていけばFWの役割もできる。技術の高さと攻撃のセンスがあります。それから周りの選手の動き、立ち位置を見て、自分がどこにいればいいかの判断が巧みですよね。

 三笘薫選手や脇坂泰斗選手などがどこにいるかを見て、自分がどこにいたら相手が嫌がるか。それを常に気にしながら周りとの連係が取れて、気遣いのできる選手です。川崎フロンターレのサッカーがそういうスタイルなので、自然に身についていったものかもしれないですね。サイドバックであそこまでポジショニングを考えられる選手は、なかなかいないと思います。

 日本代表では同じ左サイドバックに長友選手がいたので、選ばれるのがなかなか難しかったと思いますが、実力的には代表に名を連ねてもおかしくない選手だと思っています。

加地氏が相手へのアプローチの速さを評価する、吉田豊 photo by Getty Images加地氏が相手へのアプローチの速さを評価する、吉田豊 photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る7位 吉田豊(名古屋グランパス)

 彼はサイドバックとしての"顔"を持っていますよね。とにかく怖い(笑)。この人にマークにつかれたら嫌だなという顔を持っているのは、DFに必要な素質だと思います。

 それから小回りが利くアジリティと粘り強さ。重心が低くて、とにかく相手へのアプローチが速い。相手からすると、トラップした瞬間にもう目の前に吉田選手の顔がある感覚です。それくらいの距離にあっという間に詰められてしまう。それは脅威ですよ。しかも90分それをやれる。

 あと特徴的なのが、構えている時の重心が左右半々なんです。それはフラットに立っているということ。だから、左右どちらに行かれても対応できるんですね。普通であればサイドバックは相手をタッチラインのほうに追い込みたいので、縦に行かれた時のために重心がそっちに寄るものなんです。だけど、吉田選手はサイドに追い込むより、ボールを取りにいく意識が高いから、そういう重心になるんでしょうね。

 彼の寄せの速さや距離感、ボールを奪いにいく姿勢や粘り強さは、今のサイドバックの選手たちに見習ってほしいと思います。

6位 名良橋晃(元鹿島アントラーズほか)

 名良橋さんのイメージは、元ブラジル代表のロベルト・カルロスですね。弾丸のようにオーバーラップをして、右足を振り抜いてクロスを入れ、弾丸のように帰ってくる。プレースタイルがはっきりしていて、見ていて本当に気持ちのいい、魅了されるサイドバックでした。

 クロスをあげる時も人に合わせるといったパスではなく、「俺のボールに合わせろ!」みたいな鋭いボールを入れてくるんですよ。相手DFからすると、この手のボールは下手に触ったらオウンゴールの危険もあるので、すごく嫌だったと思います。

 守る時も、ほかの選手と連携して取るというより、自分ひとりで奪い取る! そういったイメージですね。最近はこれだけ個性のはっきりした"THEサイドバック"はいないと思います。名良橋さんのような個性のあるサイドバックが、今後も出てきてほしいですね。

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