日本代表メンバー発表で最大の問題が明白に。「ポスト大迫勇也」をどうすべきか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

【可能性のひとつ「江坂任の0トップ」】

 川崎や横浜FMに近い攻撃的パスサッカーを森保ジャパンが目指すなら、ボールを受けられる本格派ストライカーは不可欠になる。大迫がスタメンを張る現状は、それを実践しやすい状態にあると言えるが、その計画は、大迫が欠けると同時に崩れ去る。上田では2、3割程度後退する。前田、古橋、浅野らを試合開始当初から1トップに据えれば、サッカーは全く別物になってしまう。

 Jリーグ最終節、横浜FM対川崎で、両軍の本格派ストライカー、レアンドロ・ダミアンとレオ・セアラが、攻撃の軸として機能する姿を見せられると、日本代表における大迫の貴重さを痛感せずにはいられなかった。ロシアW杯でベスト16入りを果たした原因を語る時、大迫は外せない存在になる。しかし、日本代表のCFはそこから時代が止まった状態にある。そこだけ前に進んでいない。

 来年11月までに第2の大迫が登場する可能性はほぼゼロだろう。その一方で、大迫の力は徐々に低下する。別の道を探るべきだと考える。

 そのひとつが0トップだ。CFより両ウイングが高いポジションを取るサッカーと言ってもいい。日本に本格派ストライカーは誕生していないが、ウインガーはどんどん育っている。日本のストロングポイントになりつつある。この魅力をパスワークという日本サッカーが長年こだわってきたポイントと掛け合わせることができれば、大迫がスタメンを外れてもパズルは成立する。

 南野、鎌田大地(フランクフルト)あたりが0トップの候補になるが、ウズベキスタンと戦う次戦では、さしずめ、今季の浦和で0トップ役を果たしていた江坂を試してみてはどうだろうか。初代表の荒木もその可能性を秘めた選手に見える。

 対策を講じずに、時の流れに任せておくわけにはいかないのだ。目の前の試合に勝ちながら、11カ月後を見据える。このダブルスタンダードがないと、代表チームは弱体化していく。

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