日本中が熱狂した歴史的な一戦。明神智和が「サッカーの一番の醍醐味」を体験した代表のベストゲーム

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

日本代表「私のベストゲーム」(3)
明神智和編(前編)

これまでに数多くの選手たちが日本代表に選出され、W杯やW杯予選、アジアカップやコンフェデレーションズカップなど、さまざまな舞台で活躍してきた。そんな彼らにとって、自らの「ベストゲーム」とはどの試合だったのか。時を経て今、改めて聞いてみた――。

 ゴールデンタイムに地上波で生中継されたその試合は、日本のスポーツ番組史において歴代視聴率ランキング2位となる66.1%を記録した。

 明神智和がこれから振り返る日本代表戦は、もはやサッカーファンにとどまらず、国民注視の一戦だったと言ってもいい。

「とにかく、試合の重要さが違うというか、大きさが違うというか。自分の国でワールドカップが開かれ、初戦を引き分けて、次は勝利が義務づけられているなかでの試合でした。その勝利が、結果的にワールドカップでの(日本の)初勝利にもなりましたし、自分にとって大きな試合だったのはもちろんですが、チーム全体というか、日本全体にとって大きな試合だったと思います」

 2002年6月9日、横浜国際総合競技場。ワールドカップ日韓大会のグループリーグ第2戦、日本vsロシア。

 明神が選ぶ日本代表ベストゲームである。

日本がW杯で初めて勝利を飾った2002年日韓大会のロシア戦。明神智和にとっても忘れられない一戦となった日本がW杯で初めて勝利を飾った2002年日韓大会のロシア戦。明神智和にとっても忘れられない一戦となったこの記事に関連する写真を見る 日本はこの大会、ロシア戦を前にグループリーグ初戦でベルギーと対戦し、2-2で引き分けているのだが、この試合に明神は出場していない。「やはりスタメンじゃないと知った時には、もちろん悔しかったんですけど......」。その一方で、自らの"異変"を感じていたという。

「ウォーミングアップをしながら試合を見ている時、試合に出てもいないのに、ありえないくらい足がフワフワして。ものすごく緊張している自分がいました。この状態だったら、今日の試合に自分が出ていても、いいプレーができなかっただろうなって思いました」

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