日本代表のサイドバックは誰が良いのか。中山雄太、山根視来が存在感を高めている理由 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by JFA/AFLO

 長友が存在感を放てなくなってきたのは、サイドバックの役割が変わってきていることが大きい。

 これまではアップダウンを繰り返し、縦への推進力をもたらすタイプが重宝されてきたが、今は正しいポジションを取り、時には中に入って組み立てに参加できるタイプが求められるようになってきた。使われる側よりも使う側の比重が大きくなるなか、より前者タイプの長友にとっては厳しい時代となっている。

 代わって評価を高めたのは、長友と交代でピッチに立った中山雄太(ズヴォレ)である。ボランチやCBを主戦とする若き守備者は、東京五輪でも左サイドバックとしてピッチに立ち、一定の評価を得ていた。

 この最終予選でも、サウジアラビア戦、オーストラリア戦、そしてベトナム戦と、3試合連続で長友に代わって途中出場。とりわけベトナム戦では浅野拓磨(ボーフム)と好連係を築き、左サイドを活性化させ、存在感を高めていた。

 オマーン戦では62分から出場し、三笘薫(ロワイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)を後方支援。そして81分には高い位置でのボール奪取から三笘に縦パスを入れ、伊東の決勝点の起点となる大仕事をやってのけている。

「薫の特長は1対1にあるので、その時にできるだけ近い位置にサポートすることで、仮に(ボールを)失っても2次攻撃につなげられるポジショニングをとっておこうと。その意識がボールを奪えて、あのパスにつながった」

 後半頭からピッチに立ち、チームに勢いをもたらした三笘だったが、次第に相手の警戒が強まり、強引なプレーも増えていた。そんな状況を的確な位置取りでサポートし、三笘の能力を再び導き出した中山のファインプレーだった。

 柏レイソル時代は精度の高い左足キックでビルドアップやフィードで攻撃の起点となるプレーが持ち味だった中山は、左サイドバックという新たなポジションでその能力を開花させつつある。

「守れて、ゲームが作れて、なおかつ上下動もできるのが理想」と、万能型のサイドバックを目指す構えだ。

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