日本代表は何度同じことを繰り返すつもりなのか。腑に落ちない最終予選の初勝利 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 日本サッカー協会●写真 photo by JFA

 先の東京五輪を振り返ると、日本が準決勝でスペインに敗れたあと、吉田やDF酒井宏樹が涙ながらに口にしていたのは、「いい試合をしたと美談にされるのは、もうたくさん」という趣旨の話だった。

 彼らが引き合いに出したのは、2018年ワールドカップの決勝トーナメント1回戦、ベルギー戦である。

 日本は2-3と敗れはしたが、一時は2-0とリードするなど健闘。ベスト8進出を逃したとはいえ、優勝候補を土俵際まで追い詰めた戦いぶりを称える声は多かった。

 だがしかし、当事者である選手には悔しさしかなかった。

 だからこそ、「(東京五輪で)それを晴らすために勝ちたかった」と酒井。スペインと120分間戦い、0-1で敗れた激闘を振り返り、「どうすれば勝てるのかがわかれば、そんな簡単なものはない」とも話している。

 どんなに内容がよかったとしても、負けた試合を称えられることは選手として本意ではないだろうが、失敗を繰り返すことでしか、解決策を見つけられない。そんな壁が存在することも確かなのだ。

 しかし、アジアで繰り返される失態については、すでにどうすればいいかがわかっているのである。反発力やリバウンドメンタリティといった言葉で、それを美しいストーリーに仕立てることは可能だが、同じことを繰り返してばかりでは、ワールドカップでのベスト8進出などおぼつかない。

 こんな美談は、もうたくさん。必要な結果を残したとはいえ、何となく腑に落ちない最終予選初勝利だった。

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