日本と優勝候補スペイン。「善戦」ではなく「倒す」ために必要なのは何か

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 ユーロ2020出場組6人と代表経験のあるオーバーエイジ3人を含むU-24スペイン代表。ブックメーカー各社の予想では、ブラジル、フランス、アルゼンチンらを抑え、優勝候補の筆頭に推されている。5~6番人気ながら、ホームの利にあやかり、金メダルを狙う日本との力関係はどんなものか。逆転は可能なのか。

 17日、神戸で行なわれた日本対スペインは1-1に終わった。下馬評に従えば、日本は善戦したわけだが、問題は次に戦う時の可能性だ。スペインはこの結果及び内容に、慌てただろうか。準決勝、決勝で対戦する可能性がある日本に、どれほど脅威を抱いただろうか。そうした意味では、日本は心配したほうがいいだろう。

 試合は、日本が前半42分に先制すれば、スペインが後半33分に追いつくという展開だった。しかし、終盤はスペインの一方的なペースで、日本の終わり方はけっしてよくなかった。かろうじてクリンチで逃げ切ったという印象だ。

 金メダルは現実的に、スペインを倒さない限り見えてこない。どこをどう立て直せば次回、スペインに対し、もっと接近した戦いができるか。慌てさせることができるか。

U-24スペイン代表戦で堂安律の先制ゴールをアシストした久保建英U-24スペイン代表戦で堂安律の先制ゴールをアシストした久保建英この記事に関連する写真を見る スペインと日本。両者の差は、ボール支配率に顕著に表れていた。64%対36%。日本のサッカーも、スペイン同様、ボールを持ちたいタイプだ。身体能力に優れた快足FWによる切れ味鋭いカウンターを武器にしているわけではない。この関係をせめて60対40に持っていきたい。

 日本は、すなわち中盤力でスペインに大きく劣っていた。わかりやすく言えば、それはバルセロナに所属するペドリ的な選手のいる、いないの差だった。

 スペインの攻撃は、内もあれば外もあった。左右の幅を十分に取っておいてその中を突くパスワークがあった。けっして得意とは言えないカウンター、及びサイド攻撃に頼らざるを得なかった日本との一番の違いになる。

 得点シーンは似ていた。左サイドからのマイナスの折り返しを前半42分に堂安律が、後半33分にハビ・プアド(公式記録の得点者はワンタッチしたカルロス・ソレル)がそれぞれシュートに持ち込んでいる。堂安のゴールをアシストしたのは久保建英で、ハビ・プアドにラストパスを送ったのは左サイドバック(SB)のフアン・ミランダだった。

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