日本人で最強のヘディングの名手は誰か。秋田豊が理由も解説、トップ10を決めた (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by AFLO

5位 豊田陽平(栃木SC)

 豊田はスピードに優れているわけではないけど、高さがあって、ヘディングを合わせるポイントを知っていて、なおかつ大事なところで点が取れる選手ですね。とくにサガン鳥栖ではヘディングの強さで自分を主張できて、チームにとっても非常にストロングな部分となりました。

 彼とは名古屋グランパス時代に一緒にプレーをしているんですけど、当時から責任感を持ってプレーできて、戦える選手でした。そして、鳥栖でものすごく伸びたと思います。

 名古屋時代は、ボールの質によってヘディングの強さを発揮できる感じで、「豊田用のボール」がありました。彼の3mくらい前にフワッとボールをあげると、「イチ、ニ、サン!」で飛んでパワーを持ってたたきに行けて、得点が取れました。あとはニアサイドに速いボールが入れば、そこに行って頭ですらして点を取るのも得意な形でしたね。

 正直、当時はそれらをあまり生かせていなかったんですけど、僕からのボールでは点が取れたんですよ。なぜかと言うと、同じヘディンガーとして豊田の取扱説明書を僕だけが持っていたからです(笑)。どんなボールが欲しいのか、僕にはわかりました。

4位 秋田豊(元鹿島アントラーズほか)

 僕は正統派な、ヘディングが強いタイプだと思います。もともと身長180cmと特別高いわけではない。それでも、どちらかと言うとメンタルの強さを強調しながらヘディングを武器に戦ってきました。守備面で跳ね返すのはもちろん、攻撃面でもゴールを量産するわけではないけれど、大事な場面ではヘディングで点が取れる選手だったと思います。

 やはり駆け引きで、相手の気持ちを折ろうとはよくしていました。最初のコンタクトのフィジカル勝負でふっ飛ばして、自分の存在を示すのは当たり前。相手の上からヘディングをたたいて、追い打ちをかけるように「弱いな」と言ってみたり。そうしてヘディング勝負で勝って、相手のメンタルに揺さぶりをかけるのが僕のスタイルでした。

 それから相手のロングボールやゴールキック、クロスなどを跳ね返すところでも、他の選手とは意識や技術の違いもあったと思います。例えばクロスがあがってきた時にそのボールをクリアするのは普通のDFです。でも僕の場合は逆サイドを見て、誰がどこにいるかを確認しながらクロスをヘディングで"インターセプト"して、チームのポゼッションに変えていきました。

 逆サイドでフリーの選手が見えても、ヘディングの技術が低ければ、なかなかその選手に届けられません。僕はそこで、ヘディングで正確に届ける技術を磨きました。相手のロングキック、ゴールキック、クロスボールは、「僕にパスをくれている」と思っていたほどです(笑)。

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