U-24日本代表は初戦の南アフリカに勝てるか。じつは高勝率のアフリカ勢との対戦 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 アフリカの選手たちは戦術的な練度の低さに課題があるのだろう。例えば、組織に対する意識が希薄で好き勝手にプレーしてしまい、流れを修正することができない。ヨーロッパのクラブでは他の選手にカバーされて目立たないが、彼らだけになるとゲームマネジメントの拙さが出るのだ。

「日本人が勝利するには、数的有利を作ること」

 2010年の南アフリカワールドカップ、日本の選手たちはそう割り切って、サミュエル・エトーを擁するカメルーン戦に挑んでいる。身体能力の高い相手を封じるため、FWまで自陣に戻ってプレスバック。攻められる時間は長かったが、相手にスピードを使わせず、攻め疲れしたところ、カウンターで右サイドからの松井大輔のクロスを本田圭佑が沈めた。辛抱強く戦い、組織力で上回った。

「メンタル面の準備として、まずはネガティブなことは考えないように」

 カメルーン戦に向けて、長友佑都が語っていた言葉は啓示的である。

「(ワールドカップ前の強化試合)ガーナ戦は印象的で。自分のハンドでPKを与えてしまい、今までなら弱気の虫が出てきて、"やばい俺のミスだ"と最後まで引きずっていたんでしょうけど、ボールをセンターサークルに戻す時には、もう気持ちは切り替わっていました。それで、アグレッシブに楽しんでプレーできて。エトーのような世界一の選手と対戦できると思い浮かべると、心の底から湧き上がる興奮を感じるんですよ。人生の中でこれほどのチャンスはないし、やるからには楽しまないともったいない」

 恐れずに挑めるか。怯まず、あきらめず、楽しんで戦えたら、活路は開ける。心理戦で勝つことが肝要だ。

 アフリカの選手は、メンタルコントロールが不得手だと言われる。闘志は感じさせても、リードが広がると試合を投げてしまうところが多々ある。すぐに心が折れ、「最後まで戦い抜く」という粘り強さがない。誤解を恐れずに言えば、アフリカの選手は無垢すぎるのだ。

 冒頭にエムボマとオルンガを例に出したが、2人はJリーグで大暴れしたものの、欧州では特筆するような記録を残せていない。その身体能力は規格外だが、戦術的な対応を受けると、長所を封じられてしまう。例えばオルンガはスペイン2部時代、ハットトリックでデビューしたにもかかわらず、プレーを研究されたことによって、得点はそれのみでシーズンを終えているのだ。

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