岩清水梓が産後復帰に向けて必要だと感じたこと。「それを受け取れたのは出産の3、4カ月前だった」 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

「WEリーグでは雇用の面はかなり整備されていると聞いています。私が必要だと感じるのは、出産前のトレーニングのサポートです。JISS(国立科学スポーツセンター)に少しメニューがあったんですけど、それを受け取れたのは出産の3、4カ月前だったので、それまではケガをした際の負荷をかけないというトレーニングメニューを自分で持っていたのでそれを一人でやっていました」

 確かに、産後から復帰に向けてはケガのリハビリなどで行なうトレーニングメニューで対応できる予想はつくが、妊娠期間中のメニューについては国内で確立できている競技団体を聞いたことがない。

「この間、永里優季選手からアメリカの妊娠した選手がトレーニングメニューを作っていたという話を聞いたんです。そういったデータがあるなら、しかるべき機関が取り寄せて、しっかり分析して選手に下ろしてもらえるとありがたいですよね。

 個人差はあると思うんですけど、私の場合は今思えば、接触プレーのない、フリーマンとかそういうポジションをくれるなら(試合を)やれていた気がします(笑)。もちろん個人差があると思います。ただ、ある程度チームと一緒にいたほうが戦術とか頭のほうの理解が離れなくて済むんですよね」

 驚くべき提案だと思った。本人も何度も"個人差がある"と重ねていたが、ピッチに立つか否かはリスクも伴うため、自己判断の要素を多く含む。妊娠期間中のトレーニングについては本格的なデータを日本女子サッカー界は得ていない。出産前のトレーニング次第で、復帰までにかかる時間と負担を軽減させる可能性も十分に秘めているということだ。岩清水自身、復帰は想定よりも時間を要したという。

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