日本代表にあってU-24に足りないもの。大迫勇也と鎌田大地の重要性が浮き彫りになった (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 さらに後半12分、田川に代わって林大地が、後半28分、三好に代わって堂安律が入っている。登場したアタッカーは全部で8人。だが、この中に、鎌田に似た選手、大迫に似た選手は誰もいない。ポスト役がこなせる大型選手がU-24には存在しないのだ。

 一方、A代表のアタッカー陣には、4-2-3-1の3の列に、左から、原口元気、鎌田、南野拓実が並んだ。この日は南野が右で先発。原口が左を務めた。南野の右は日本代表では、おそらくこれが初めてだったのではないかと思う。しかし、ほどなくすると、南野は原口と左右を入れ替えた。4-2-3-1の1トップ(大迫)下は、もはや鎌田の定位置になっている。

 大迫―鎌田。高い位置で縦関係を築くA代表のこの2人が、チーム最大のストロングポイントであることは明白だ。それは2人が交代でベンチに下がると鮮明になった。A代表の攻撃はそれを機に、理詰めさを欠いていった。

 その姿は、U-24とほぼ一致する。田川はどちらかといえば、裏に抜けるプレーが得意なアタッカーだ。その下に構える久保も、相手ゴールを背にするプレーは得意ではない。1トップ下に適性があるとは言えないのだ。大迫と鎌田、田川と久保。この2組の、1トップと1トップ下の関係の差が、そのまま内容に直結した試合といっても言いすぎではない。

 久保に関して言えば、4-2-3-1の3の左で先発した三好との関係も良好ではなかった。共に小柄な左利き。キャラが被っているのだ。A代表の鎌田と南野の関係にも少し似ているのだが、それはともかく、U-24がどこに問題を抱えているのかと言えば、攻撃になる。

 キチンと攻撃できなかったから3-0で敗れた。守備が破綻したからではない。横内監督が言う強度の問題も、副次的な要素にすぎないと見る。

◆日本代表のシステム変更と鎌田大地の活躍にスペインの名指導者が喝采

 このU-24の現状に足りないものは何か。それが鮮明になった一戦だった。どのパーツを補えば、U-24は現状より進化するか。吉田、酒井、遠藤ではない。大迫、鎌田のほうが、はるかに重要な選手に見える。筆者は当初から、オーバーエイジ枠に大迫、鎌田は不可欠と主張してきたが、この一戦は、そのことを再認識した試合、証明した試合といっても過言ではない。

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