サッカー五輪男子はクジ運に恵まれた。組み合わせから見えるメダルへの道筋 (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

 もちろん、メキシコに勝って2連勝となれば言うことなしだが、確実に初戦をものにしておけば、引き分けも視野に入れた戦い方が可能になる。もしメキシコが初戦でフランスに勝っていれば、なおさらだ。いずれにしろ初戦を落としさえしなければ、落ち着いて進められる試合になるだろう。

 グループリーグ最後の第3戦は7月28日、横浜国際競技場でのフランス戦。正直、最も実力が読めないのが、このフランスだ。

 一般論として「タレント揃いのチーム」(森保監督)であるのは間違いない。だが、「A代表はユーロ(欧州選手権)があり、その兼ね合いで東京五輪に出てくるチームのメンバーも変わってくるかもしれない。これからスカウティングを進めて、相手がどういうチームづくりをしてくるのか把握したい」(森保監督)というのが実際のところである。フタを開けてみたら、フランスのイメージから想像する強さには程遠いチームだった、などということも十分にあり得る。

 ただし、日本にとって厄介なのは、東京五輪が1年延期になり、今年ヨーロッパではU-21欧州選手権が進行中である点だ。

 欧州各国のU-23代表が競うこの大会(※注:2年前の予選開始時にU-21チームでスタートする)は、現在ベスト8が出揃い、5月31日に準々決勝、6月3日に準決勝、6月6日に決勝が行なわれる。フランスも準々決勝へ進出しており、もしこのU-23代表が(年齢的には1歳下の代表チームとはいえ)そのまま東京五輪にやってくるようなことになれば、チームとしてかなり仕上がっている可能性もある。

◆東京五輪代表メンバーのオーバーエイジ3枠を考察。候補は5人>>

 とはいえ、仮にベストに近いメンバー編成になったとしても、最近のU-20ワールドカップなどでの戦いぶりを見る限り、優れた個人能力の一方で、チームとしては意外な粗さや脆さを見せるのがフランスの特徴でもある。フランスと言えども過度に恐れる必要はない、というのが個人的な見立てだ。

 何より日本には、地の利という強い味方がついている。それは、わずか18人の登録メンバーで最大6試合をこなさなければならない五輪においては、とりわけ大きな意味を持つ。

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