加地亮が選ぶ日本人SBベスト10。内田篤人や長友佑都より強烈な選手がいた (5ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

新旧の日本代表を担った、名サイドバックたちが揃った photo by AFLO新旧の日本代表を担った、名サイドバックたちが揃った photo by AFLO1位 駒野友一(FC今治)

 サイドバックでこれだけチャンスメークできて、得点も取れる選手は、なかなかいないと思います。クロスはスペシャリストで精度が抜群だし、しかも左右どちらの足でも遜色なく蹴ることができる。ミスが少ないし、アップダウンも繰り返せて守備も粘り強い。トータルに見てとにかく完成度の高いサイドバックでした。

 とくに評価したいのは、アシストをはじめとした攻撃面ですね。ほかにも攻撃に秀でたサイドバックはたくさんいますが、駒ちゃんが歴代で貢献度がいちばん高いと思います。

 日本代表では、南アフリカW杯でPKを外したのは覚えています(笑)。それは冗談として、ドイツW杯の時に直前に僕がケガをして、初戦のオーストラリア戦に駒ちゃんが出場したんですよね。その時に彼のプレーを見て、一つひとつの精度の高さを感じました。

 性格はすごく温厚で、メンタル面の落ち着きがプレーにも表われていますよね。僕もあんな安定感のあるプレーがしたいなと、同じ右サイドながらいつも思っていました。監督なら誰でも使いたくなると思う、というところで1位に選びました。

番外編 田渕龍二(コンサドーレ札幌ほか)

 JFL時代からコンサドーレ札幌で活躍されたサイドバックなんですが、この人は本当に粘っこい。マンツーマンの鬼ですね。この人が対面にいた時は本当に嫌でした。

 うまさというより、とにかくマークの執念がすごい。どこまでもついてくるし、90分間つづけてくるんですよ。僕もうまさはなかったので、対戦する時はふたりでとにかく泥臭く走り合いでした。

 僕が大分トリニータにいた頃、J2は同じチームと4回対戦したので、4回目にはもう「今日もよろしくお願いします」と挨拶していました(笑)。札幌とやる時はいつも「今日もタフな走り合いになるな」とちょっと気が重かったのを覚えています。今でも覚えているくらい、強烈に思い出として残っているのが田渕さんとの対戦でしたね。

加地 亮
かじ・あきら/1980年1月13日生まれ。兵庫県出身。滝川第二高校からセレッソ大阪に入団。その後、大分トリニータ、FC東京、ガンバ大阪でプレー。運動量豊富な攻撃的右サイドバックとして大活躍し、数々のタイトル獲得に貢献した。1999年ナイジェリアワールドユース準優勝メンバー。日本代表では国際Aマッチ64試合出場2ゴール。04年アジアカップ優勝。06年ドイツW杯に出場した。14年からはアメリカのチーバスUSA、15年からファジアーノ岡山でプレーし、17年に引退。現在は解説者として活躍中。

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