加地亮が選ぶ日本人SBベスト10。内田篤人や長友佑都より強烈な選手がいた (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

5位 山田暢久(元浦和レッズ)

 山田さんは足元がうまくて、ビルドアップで持ち上がった時にドリブルで相手のプレッシングを回避したり、破っていく能力がありました。最近で言えば川崎フロンターレの山根視来選手のようなイメージです。

 ペナルティーエリアに入った時の切り返しがすごかったのは、とくに覚えていますね。ドリブルで結構ボールをこねてくるんですよ。サイドバックにはあまりない"コネ感"を持っていました。クロスをあげるのかと思ったら、切り返してさらに進入してくるとか。DFが読めない攻撃のセンスとか、能力は本当に高かったですね。

 それと空中戦の強さがありました。それほど身長があるわけではないんですけど、ゴールキックからの空中戦勝負で山田選手が負けたところを見たことがないですね。

 何度も対戦し、お互いに右サイドなので対面する機会はなかったんですが、山田選手がボールを持ったらそこでは取れないなと思っていました。サイドチェンジの質も高いので、逆サイドにボールがあっても僕は気が抜けなかったです。

4位 酒井宏樹(マルセイユ)

 彼はフランスのマルセイユに移籍したここ数年で、急激に成長したサイドバックですよね。それまではがむしゃらに守備をしながらアップダウンを繰り返して、最後は高速クロスを入れるイメージでした。

 とくに成長したと感じるのが対人での守備。今は、長友選手よりもその部分においては上のレベルにあると思います。日本のなかでは対人に関していちばん強いし、世界のなかでもかなりのレベルですね。

 サイドバックのなかでは体が大きいので強さもあるし、高さもあるのが彼の強み。日本代表では相手がアジアレベルならほかの選手でも務まりますが、本当の強豪相手の場合は酒井選手でなければ守備の部分で耐えられないと思います。

 フランスではパリ・サンジェルマンのネイマール(ブラジル)をはじめ、強烈な選手たちと対戦して、そこでの経験に裏打ちされた自信がありますよね。その自信を持って良くなったプレーには、ビルドアップの部分もあります。つなぎに余裕が生まれて、自分の足元にボールを置いて時間をつくれるようになったと思います。

 攻撃に関しては、柏レイソル時代から力とスピードを武器に、相手をねじ伏せるところがありました。そこに自信と経験が備わって、かなりスケールの大きなサイドバックになったと思います。

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