スペインの名伯楽がU-24代表16人を個別評価。「可能性を感じたのは...」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 代表撮影:日本雑誌協会

「この選手はリーガ・エスパニョーラで必ず通用する!」

 スペイン人指導者、ミケル・エチャリはそんな大雑把な分析はしない。選手の能力に言及するときも、あくまで淡々と、目についたプレーを拾い上げる。プロのスカウトとはそういうものだ。

 ホセバ・エチェベリア、フランシスコ・デ・ペドロ、シャビ・アロンソなどスペインを代表する多くの選手に影響を与えてきたエチャリは、U-24日本代表の若き戦士たちをどのように見つめたのか。久保建英の評価はやはり高かった。旗手怜央の可能性、田中碧の非凡さ、そして板倉滉への記述は興味深い。以下、16人の選手の寸評である。

U-24アルゼンチン代表との第1戦で先発したものの、第2戦は出番がなかった三笘薫U-24アルゼンチン代表との第1戦で先発したものの、第2戦は出番がなかった三笘薫GK
谷晃生(湘南ベルマーレ)
 第2戦に先発した。高いポゼッションを目指したチームにあって、その先手になっていた。足でのプレー技術が一見して高い。決断力を感じさせ、アルゼンチンのFWアドルフォ・ガイチのシュートも確実に止めていた。

DF
板倉滉(フローニンゲン)
 第1戦は左センターバック。ポジショニングに優れた選手で、守勢に回った時も冷静だった。しかし先制点を奪われたシーンでは、相手に振り切られてクロスを上げられてしまった。第2戦はボランチで出場。攻守両面、高さのアドバンテージを与えていた。とりわけ、後半のCKからのヘディングの2ゴールはすばらしかった。田中碧と組んだ中盤の出来は上々だった。

渡辺剛(FC東京)
 第1戦に右センターバックで出場。悪くない判断で、辛抱強く守っていた。後半、コーナーキックからの絶好球をヘディングで捉えられなかったシーンは悔やまれる。

瀬古歩夢(セレッソ大阪)
 第2戦、右センターバックで出場。林大地への縦パスで先制点をアシストした。プレーの決断が早く、はっきりしたディフェンスが持ち味の選手だ。相手の攻撃が限定的だったこともあるが、町田浩樹(鹿島アントラーズ)とのバランスも崩れなかった。

菅原由勢(AZアルクマール)
 第1戦に右サイドバックで出場。序盤、渡辺皓太に折り返したクロスは決定機だった。三好康児とのコンビネーションも悪くない。守りでもいいポジションを取っており、マイナス点は少なかった。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る