モンゴル戦は評価できるデータ多数も油断は大敵。布陣と采配の改善点は?

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 写真●代表撮影・日本雑誌協会

 2022年W杯アジア2次予選で、ここまで4戦無敗の森保ジャパンが、フクダ電子アリーナ(千葉県)でモンゴルと対戦し、0-14の圧倒的スコアで大勝。勝ち点を15ポイントに積み上げた日本は、6試合を消化している2位タジキスタンとの差を5ポイントとし、最終予選進出に王手をかけた。

モンゴル相手に記録的大勝を収めた日本代表モンゴル相手に記録的大勝を収めた日本代表 この試合のモンゴルは、2019年10月に対戦した時からスタメン6人を入れ替え、布陣は前回同様の4-1-4-1を採用。キックオフ直後から、日本の両ウイングには両サイドバック(SB)が、さらに右MFの15番(ガルエルデネ・ソヨルエルデネ)が左SBの小川諒也を、左MFの4番(ドゥルグーン・アマラー)が右SB松原健をそれぞれマークするかたちで、日本のサイド攻撃を封じようとする狙いが見て取れた。

 思い出されるのは、日本が6-0で勝利した前回対戦だ。日本は、その試合で森保ジャパン過去最高本数となる計45本(前半23本、後半22本)のクロスボールを両サイドから供給。6ゴールのうち、伊東純也のクロスから3ゴールをマークした。

 指揮官が交替したとはいえ、モンゴルがその教訓から日本のサイド攻撃をいかに封じるかを念頭に置いて、守備戦術を準備したのも当然と言える。

 日本の両サイドバックが高い位置をとった時のモンゴルの陣形は、両サイドMFが最終ラインに吸い込まれたかたちの6―3-1。ただ、その守備方法が奏功したように見えたのは、キックオフから約10分間に限られた。

 ちなみに、日本はその間に7本のクロスを放り込んでいるが、いずれも正確性を欠いて不成功に終わっている。おそらくモンゴルの守備が破綻した主な要因は、日本の先制点と2点目の攻撃パターンの違いにあったと考えられる。

 まず、13分の先制点は、小川が15番を振り切って左サイドから供給したクロスボールが4番の頭をかすめて逆サイドに流れ、それを回収した松原が折り返して南野拓実がゴール。モンゴル側から見ると、日本の両サイドからの揺さぶりについていけず、危険エリアにいた南野を、一瞬だけフリーにしてしまった格好だ。

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