久保建英も田中碧も日本選手は「無難」。アルゼンチン戦大勝も素直に喜べない

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 U-24日本代表対U-24アルゼンチン代表。味の素スタジアムで行なわれた第1戦(1-0でアルゼンチンの勝利)の3日後に行なわれた第2戦は、日本が3-0のスコアで大勝した。

 1点目は前半終了間際。瀬古歩夢(セレッソ大阪)から縦パスを受けた林大地(サガン鳥栖)が挙げたもの。2点目、3点目は、後半23分と28分、それぞれ久保建英(ヘタフェ)の蹴ったコーナーを板倉滉(フローニンゲン)がヘッドで叩き込んだ得点だった。

U-24アルゼンチン代表との第2戦でコーナーキックから2アシストの久保建英U-24アルゼンチン代表との第2戦でコーナーキックから2アシストの久保建英 しかしこの試合を見て、「U―24日本代表はなんて強いんだろう」と、大いに感激した人は、少ないのではないか。もう一度戦えば、アルゼンチンが勝つだろう。五輪本番で対戦すれば、逆にやられそうだと思った人のほうが、多くを占めるのではないか。

 久々の大勝に水を差すわけではないけれど、これほど褒める気が湧かない3-0も珍しい。

 この日のスタメンで、第1戦に引き続き2戦連続、先発を飾ったのは板倉と久保の2人のみ。横内昭展代行監督は、選手を大幅に入れ替えて臨んだ。

 次なる強化の機会は6月。五輪本番まで1カ月という段になる。細かなスケジュールはわからないが、その前にオーバーエイジを含めた本大会のメンバー発表があったとしても不思議はない。

 U-24アルゼンチン代表と戦った今回の2試合は、U-24日本代表の最終選考会的な意味合いを持っていた。招集した選手を2試合に分けて、ほぼ均等に出場させた理由はそこにある。選手にしてみれば、最後のアピールの機会というわけだ。

 それはU-24アルゼンチン代表にとっても同じこと。アルゼンチン選手は生き残りをかけて、はるばる日本までやってきた。そこでこちらの目に止まったのは、日本選手とアルゼンチン選手、それぞれのアピール方法の違いだった。大勝を素直に喜べない理由と関係がある。

 アルゼンチンの選手は個人でチャレンジに行った。個人能力をアピールしようとしたのに対し、日本選手は、何よりミスをしないことを心がけているように見えた。それこそが合格への近道と言わんばかりのプレーに終始した、という印象だ。今回に限った話ではない。これまでのすべての試合がそうだし、フル代表の選手にも当てはまるのだが、言うならば、冒険心に欠けるプレーだ。

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