2020.11.16

パナマ戦前半の日本が不調だった理由。
スペインの名伯楽が分析

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 日本サッカー協会●写真 photo by JFA

「終盤には少なくとも4つ、GKとの1対1の機会を作ったが、ことごとく外してしまった。大量得点で勝利すべき試合だったと言える。それを最後まで接戦にしてしまった」

 スペインの名伯楽、ミケル・エチャリは、パナマに1-0で勝利した日本代表の一戦をそう振り返っている。エチャリは、フアン・マヌエル・リージョ(マンチェスター・シティヘッドコーチ)、ウナイ・エメリ(ビジャレアル監督)、ガイスカ・ガリターノ(アスレティック・ビルバオ監督)など、多くのスペイン人指導者に影響を与えてきた慧眼の持ち主だ。

 そのエチャリは、パナマ戦をどうスカウティングしたのか?

パナマ戦の後半から出場し、流れを変えた遠藤航「森保一監督が率いる日本は、3-4-2-1の布陣を選択している。中央でプレーを作ってから、サイドに活路を見出す。大まかに言えば、その戦略だったはずだ。

 しかし、前半は戦術的にノッキングしていた。

 パナマは、4-2-3-1で後ろからプレーを組み立て、最前線ではガブリエル・トーレスがフィジカルの能力とシュートに持ち込む技量を見せた。ダブルボランチは強固で、トップ下のアダルベルト・カラスキージャは前線と中盤をつなげていた。プレー全体がいくらかスローだったものの、堅実な攻守を見せ、徐々にペースを握った。

 日本はビルドアップからプレーを作り出そうとするが、パスがつながらない。序盤、植田直通のロングパスから南野拓実が走り込んでシュートにいく形もあったが、攻撃は散発的。チーム全体でプレーが遅く、ゴール前に行きかけても、いつものコンビネーション精度の高さがなかった。

 何より、左ウィングバックの長友佑都のポジションが気になった。高い位置で柴崎岳、久保建英、南野などと連係するプレーが求められたのだろう。しかし、焦りからか、準備段階で立ち位置が前過ぎた。そのため、相手にプレーを予測されてしまっていた。虚を突くように攻め上がって、相手を脅かすことができなかった。

 右ウィングバックに酒井宏樹を起用しなかった理由がわからないが、それもこのシステムが機能しない要因のひとつになっていた」