なでしこジャパン最大の危機。衝突するくらいの意見交換が必要だ (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 確かに遠藤の経験不足からくる判断のマズさもあったが、それ以上に全体を通して、「遠藤サイドを相手に使わせない動き」が見られなかったことが大問題だ。いろいろ改善を試みてはいたものの、一切実を結ばなかった。

 世界大会ともなれば、相手の攻撃時、かなりの確率で日本のボランチはアンカーに遭遇し、そのアンカーをケアしようとすればするほど、ボランチのポジションが下がり、対峙する人数にギャップが生じてしまう。この現象は今に始まったことではないにも関わらず、オリンピック前哨戦とも位置づけられるこの大会で、世界の強豪と初対戦したかのような脆弱さに、高倉ジャパン始まって以来最大の危機感を感じた。

 そこで打開策となってくるのが、三浦成美(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)と杉田妃和(ひな/INAC神戸レオネッサ)が担ったボランチの役割だ。だが、実際には、アンカーのビルヒニア・トレシージャを止めることも、コースを限定することもできず、スルリと交わされて自由に配球された。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る