柱谷哲二の最重要ミッションは「監督と選手の仲を取り持つこと」だった (8ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai Keijiro

「ラモスは、王様なんでね。今までプロとしてやってきたし、ブラジルのサッカーにプライドを持っていた。読売クラブでは監督よりも俺が一番だってやってきたから、オフトの命令に従うのは自分のプライドが許さなかったんだと思う。でも俺は、そういう選手って大事だと思う。個性の強い選手が11人集まってひとつになったら、すごいチームになる。この時ラモスにお願いして、納得はしていないけど、理解はしてもらった。でも、オフトは英語で、ラモスも英語が話せるから言い合ってしまう。それでまた元に戻るという繰り返しでしたね」

 ダイナスティカップを前にチームは、徐々にまとまりつつあったが、いちばん影響力があるラモスだけはまだ違う方向を見ていた。前回大会は1勝もできずに終わった。ぶざまな結果で終わるわけにはいかない。柱谷はもう一度、ラモスに話をしにいった。大事な大会にゴタゴタしたまま臨むのは、キャプテンとしてできなかったからだ。

(つづく)

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