森保ジャパン、E-1で香港に完勝も物足りないデータが複数あり (3ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 では、その原因はどこにあったのか。理由を探ると、4-3-3を採用する香港のディフェンス方法の問題が浮上する。

 カギを握っていたのが、3トップの右を務める10番と、左の11番だ。この試合の香港は、日本の最終ライン3人がビルドアップを開始する際、前線3人が連動しながら左右どちらかにパスコースを限定する守備方法を狙っていたように見えたが、献身的な守備でパスコースを限定していた10番に比べ、11番の守備はザルそのもの。あまりにもお粗末だったため、日本の「ボールの出口」は渡辺に集中することとなった。

 この試合で渡辺が記録したパス本数はチーム最多の97本(成功88本)。とくに前半には、同じ右サイドの相馬に8本、仲川に8本のパスをつないでいる。相馬とのホットラインに限っていえば、後半も8本を記録した。

 また、香港の中盤3人は日本のダブルボランチと2シャドーを意識して中央寄りに構えていたため、4-3-3を採用しながら、見た目は両サイドバックの前に大きなスペースが空いた4-1-2-2-1のように歪んでいたことが、その問題に拍車をかけた。

 相馬がパスを受けるとき、そのほとんどはノープレッシャー。しかもマッチアップする左サイドバック(2番)との1対1の勝負にも勝っていたため、再三攻撃の起点となることができた。

 8分に生まれた先制ゴールもそのひとつ。渡辺、相馬、仲川とつないだあと、仲川が入れたクロスからゴールチャンスが生まれ、最後は相手の中途半端なクリアボールを菅が左足ボレーを突き刺した。また、前半アディショナルタイム1分の4ゴール目も、相馬が右から入れたクロスボールをきっかけに、最後に小川がネットを揺らしている。

 もっとも、日本もこれだけクロスを入れながら、その成功率は高くなかった。

 たとえば前後半合わせて計13本のクロスを記録した相馬は、4ゴール目につながる小川に合わせた1本と、86分に上田綺世に合わせた1本しか味方に合わせることができなかった。また、計7本のクロスを記録した左の菅にしても、成功したのは4ゴール目のアシストとなった1本のみ。それも含め、この試合で日本が記録した計31本のクロスのうち、成功したのはわずかに5本に終わっている。

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