2019.12.15

香港戦大勝に隠された森保Jの問題。
なぜ攻撃は「右」に偏ったのか

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 日本、韓国、中国、香港の東アジア4カ国で争われるE-1選手権。日本は第2戦で最弱国の香港と対戦した。勝利は戦う前から見えていた。5-0という結果は少し勝ちすぎに見えるが、実際に香港のプレーを見せられると納得したくなるというか、至極、順当なスコアに思える。逆に、日本の方に注文をつけたくなるほどだった。

 日本の先発メンバーは第1戦の中国戦と全員入れ替わっていた。一方、採用した布陣は中国戦と変わらず3-4-2-1だった。

 3バックに古賀太陽(柏レイソル)、田中駿汰(大阪体育大学)、渡辺剛(FC東京)、ウイングバック(WB)に菅大輝(北海道コンサドーレ札幌)と相馬勇紀(鹿島アントラーズ)、守備的MFに田中碧と大島僚太(ともに川崎フロンターレ)、2シャドーに田川亨介(FC東京)と仲川輝人(横浜F・マリノス)、そしてトップに小川航基(水戸ホーリーホック)が配置された(いずれも左から)。

小川航基のハットトリックなどで、香港に5-0と大勝した日本代表 試合が経過していく中で、最も気になったのは左右のバランスだ。具体的には、WBがプレーに関わる頻度に左右差があった。その機会が多かったのが相馬勇気(右)で、少なかったのが菅(左)だ。

 理由はいくつか考えられるが、ひとつは周囲との関係だ。相馬にはサポートする選手がいたが、菅にはいなかった。3-4-2-1の布陣に照らせば、相馬に一番近い選手は大島で、菅は田中碧だ。

 この川崎のMFコンビは普段から大島が主役、田中碧が脇役の関係にある。田中碧の台頭は著しいものがあるが、とはいえ、川崎のパスサッカーは大島ありきで成立している。大島のサポート役という通常の役をこの日の田中碧は引きずってしまった様子で、プレーに主体性を欠いていた。菅との関係が希薄になったのはその結果だろう。

 川崎の場合、サイドには2人いる。左であればSB(車屋紳太郎)と、4-2-3-1の3の左(阿部浩之、または長谷川竜也)だ。パスの選択肢は外方向に2つある。これに対し、3-4-2-1で戦う森保ジャパンはひとつ。こうした周辺環境の違いも田中碧のプレーに影響を及ぼしたものと思われる。