森保監督が3アシストの伊東純也を起用した狙いは「アジア対策」 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 クロスの質にも工夫が見られた。

 南野の先制点は長距離の高速クロス、長友佑都の10年ぶりのゴールにつながったアシストはグラウンダー、そして永井のゴールはサイドを深くえぐったものではなく、ペナルティエリアの角のあたりから近い距離をピンポイントで合わせたもの。いずれも「決めてください」と言わんばかりの、質の高い球筋だった。

 これまでコンスタントに招集されながらも、どこか存在感の希薄だった伊東だが、この試合では堂々とした姿も印象に残った。

 ボールを受けたら、縦に仕掛ける――。その迷いなきプレーの裏には、ベルギーでの経験が大きいだろう。今年2月にベルギーのゲンクに移籍し、今季はチャンピオンズリーグも経験している。トップレベルの戦いを経験するなかで、確かな手ごたえを掴んでいるようだ。

 キャプテンの吉田麻也(サウサンプトン)も、伊東の成長を感じているひとりだ。

「純也に関して言えば、移籍して、優勝して、チャンピオンズリーグに出始めて、非常に自信を深めている時期じゃないかなと思う。こういう時がいちばん伸びるので、突き抜けてほしいと思います」

 とはいえ、モンゴル相手の活躍がどれだけ評価に直結するか、不透明な部分もある。日本の右サイドは堂安だけでなく、久保建英(マジョルカ)も主戦とするポジションである。両者を上回るには、さらなるインパクトが必要だろう。

 それでも、伊東はこの激戦区において、自身の存在価値を示す覚悟だ。

「ふたりとも左利きなので、カットインとかコンビネーションとかはうまくできると思います。でも、自分としては、縦に、縦にどんどん行って、相手の嫌なところにボールを入れていくという部分が強みなので、そこは試合に出たら出していかなければいけないと思います」

 異なる特性を備えた伊東が、日本の戦い方に多様性をもたらすとともに、ポジション争いの活性化も生み出した。その意味で伊東のパフォーマンスが、この試合を「意味あるものにした」と思うのだ。

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