森保監督が3アシストの伊東純也を起用した狙いは「アジア対策」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 恐れを知らぬ積極性と、相手を手玉に取るかのようなキレのある動きで日本の攻撃を活性化させ、それぞれが結果を残してきた。20代前半から中盤の彼らが形成する前線トリオは、長く続いた本田圭佑(前メルボルン・ビクトリー)、香川真司(レアル・サラゴサ)、岡崎慎司(ウエスカ)の時代を忘れさせ、"新ビッグ3"として受け止められつつある。

 メンバーを固定する傾向にある森保一監督だけに、格下相手の今回の試合でも、この3人がスタメンに名を連ねるかと思われた。ところが、スターティングリストにあったのは、堂安ではなく、伊東だった。右サイドハーフは、大迫不在のCFを除いて唯一、森保監督が手を加えてきたポジションだったのだ。

「戦術的な側面、コンディションの部分、いろいろな考えを含めたうえでの選手起用となりました」

 森保監督はその起用について、具体的な明言を避けているが、考えられるのは「対アジア」の戦略だろう。

 これまでの2列目は、中島と堂安の両サイドがともに逆足のアタッカーのため、攻撃が中央に寄ってしまう傾向があった。しかし、人数をかけて中を固める相手に、それは得策ではない。純粋なクロッサーをサイドに張らせることで、幅を取った攻撃を展開する狙いである。

 実際にモンゴルは人海戦術で中央を固め、日本の攻撃に対抗してきた。そこで右に入った伊東の存在がクローズアップされる。

 タッチライン際に張った伊東はフリーでボールを受ける機会が多く、単独での突破、あるいは同サイドの酒井宏樹(マルセイユ)と連係しながら、モンゴルの守備組織を横に間延びさせていった。中島のいる左サイドではなく右からの攻撃が増えたのは、それが理由である。

 それでも序盤はクロスが合わず、攻め込みながらもなかなか得点シーンは生まれなかったが、伊東はブレることなく、自らの役割をまっとうし続けた。

「1点目を獲るまでがいちばん大変だと思っていました。でも、チャンスが来る回数は多いので、そこで焦れずに何回もクロスを上げ続けたことが、得点につながったかなと思います」

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