岩渕真奈に手応え。なでしこは東京五輪に向けて選択の時が来た (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

「固定したことは意外でしたけど、全員が動くことによってできたスペースを他の人が突くということは、ある程度できていた。やり続けているからこそ、このタイミングだったらこの人が出てくるというのが掴めてきている」(岩渕)

 W杯でラウンド16のオランダ戦前、ケガ人が多くメンバーを固定せざるを得ない状況下に追い込まれたことで、逆に選手たちは連係の深まりを実感しつつあった。オランダ戦のピッチでそれがようやく形になりかけた。道半ばでの敗戦に人一倍悔しさを滲ませていたのはほかならぬ岩渕だった。

「(オランダ戦で)あれだけできても勝てなかったっていうのが本当に悔しかった。この1週間で積み上げられるものが感じられる。この代表になって初めての感覚かもしれません。ワールドカップでも少し感じられていたことだけど、そこから今日までのことが無駄じゃないって思えました」(岩渕)

 W杯敗退後、初の国際試合だったカナダとの一戦は、勝利という結果だけでなく、選手たちの中で方向性に対する信念がゆるぎないものになるかが重要だった。少なくとも、チームを牽引すべき岩渕にとっては、自身の活躍だけでなく意義深い一戦になったようだ。

 かねてより高倉監督は、「メンバーを固定すればある程度、成熟させることはできると思っている」と自信を持っていた。固定することで主力選手の連係は確実に上がる。それは今回の試合でも証明されたが、副作用として、サブメンバーのモチベーション低下という懸念材料も生まれる。

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