独特な戦術「フラット3」を駆使。手島和希は世界大会で何を感じたか (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 説田浩之●撮影 photo by Setsuda Hiroyuki

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 それでも、現地入りした大会目前、A代表の試合でトルシエ監督がチームを離れた際に、山本昌邦コーチが"フラット3"のやり方について、噛み砕いて説明してくれた。そこから、"フラット3"が形になってきた。

 大会が開幕し、日本は初戦でカメルーンに1-2で敗れたが、手島は攻守両面で確かな手応えを感じていた。

「相手の高い身体能力にやられてはしまったけど、日本はゲームの主導権を持ちながらチャンスも作っていたし、"フラット3"も機能している部分があった。この試合で、チームとして『戦えるな』という手応えは感じていました」

 初戦は敗れるも、その後のグループリーグでは2勝し、決勝トーナメント進出を決めた。そんなチームの活躍を支えたのは、"フラット3"とともに、攻撃陣でもあった。

「どのチームと戦っても、点を取れる雰囲気を感じていました。(小野)伸二とか、本山(雅志)をはじめとする、(日本の)前線の選手は皆、個のスキルが高くて、アイデアも豊富だったので、(その攻撃は)見ていて楽しかったですし、すごく頼もしかったです」

 前線の選手が点を取ってくれる安心感があったので、手島らディフェンス陣の選手も思い切った守備ができた。そうして、チームは攻守が噛み合って、日本は決勝戦まで駒を進めていく。そのターニングポイントになったのは、決勝トーナメント1回戦のポルトガル戦だった。

「ポルトガルはかなり強いと評判で、試合前にトルシエ監督から『おまえたちでは勝てない』と言われたんですよ。同じことを、決勝のスペイン戦の前にも言われたんですけど。

 実際にポルトガル戦は、相手GKが負傷退場して(相手のほうが)ひとり少ない状況でしたが、PK戦まで戦うことになりました。そのPK戦を制することができたことは、本当に大きかったと思います」

 ポルトガルを破って勢いに乗った日本は、強豪アルゼンチンを下して勝ち上がってきたメキシコと準々決勝で対戦。2-0で勝利して、これまで打ち破ることができなかった"ベスト8の壁"を突破した。手島は、この試合が大会を通して最も手応えを感じたという。

「メキシコ戦は、自分たちがラインコントロールすることで主導権を持ち、相手をコントロールする場面が多かった」

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