中田浩二が伝えたい黄金世代の一体感。「伸二を信じてついていった」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

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 中田を始め、この世代の選手はみな小野伸二の存在の大きさを語る。小野は、チームにとってどういう存在だったのだろうか。

「伸二は、僕らの中じゃ飛び抜けた存在だったけど、それを態度に出すんじゃなくて、みんなでやっていこうという姿勢でチームを引っ張ってくれた。もちろんサッカーだけじゃなく、人間性もすばらしく、ひとりの人間として尊敬していた。だから、僕らは伸二を信じてついていった。ただ、伸二に負けたくない、追いつき、追い越したいという気持ちもあった。『伸二、すげぇ』っていうだけじゃなく、いかに伸二を超えていくか。伸二が僕らの目標であり、最大のライバルだった。そういう選手ってなかなかいないですよ」

 小野は、このチームのシンボルだった。

 どんな世代にも必ず一人は、チームの選手たちが認める絶対的な選手がいる。96年アトランタ五輪の前園真聖、98年フランスW杯の中田英寿、最近で言えば大迫勇也だろう。チームの勝敗に最も影響する選手だが、ナイジェリアでの小野はまさにそういう選手だった。

 しかし、小野は準決勝ウルグアイ戦で、スローインの際の遅延行為でイエローカードを受けた。その結果、累積警告となり、決勝戦は出場停止になってしまった。

 日本は小野不在でスペインと戦わなくてはならなくなったのである。

「決勝まで勝ち上がっていくにつれて力がついてきたけど、僕らには運もありました。ポルトガルもベスト16、しかも日本相手じゃなければメンバーを落としてこなかっただろうし、アルゼンチンとブラジルが負けて、準々決勝、準決勝の相手がメキシコとウルグアイになったのも運です。ロナウジーニョがいたブラジルとはやりたくなかったですからね(笑)。でも、スペイン戦は、伸二が出られなくなった。それはチームにとって大きかった。そういう意味では、最後は運がなかったのかなと思いましたね」

 決勝、日本の運は尽きたようだった。

 小野が不在の中、開始5分で失点し、その後はスペインにいいようにボールを回され、試合の主導権を握られた。

 後半6分に4点目を奪われてトドメを刺され、日本は0−4でスペインに敗れた。

「正直、決勝に行ってちょっと満足してしまった部分があった。それは今、思い返してももったいなかったですね」

 中田は、苦い表情で当時を振り返った。

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