2019.06.12

スペインの戦術マスターは森保式
3バックを評価。「意図は理解できる」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Sano Miki

「森保一監督が日本代表で初めて用いた3-4-2-1というシステムは、ロシアワールドカップでベルギー代表が使い、成功を収めている」

“スペインの慧眼”ミケル・エチャリ(72歳)は、スコアレスドローに終わったトリニダード・トバゴ戦の森保ジャパンのシステムについて、そう解説した。

「個人的には、スペースを支配するという点で理にかなったシステムだと考えている。同じラインの選手同士、ライン同士の距離感を、どちらも正しく作りやすい。ウィングバックによって幅を使い、深さも作れる。攻撃では(ウィングバックによって高い位置で)コンビネーションを使えるし、守備では(スペースを埋めて)お互いにカバーできる利点がある」

 エチャリはスペインの名門、レアル・ソシエダで強化部長などの要職を歴任し、多くの指導者たちと向き合ってきた。ヴィッセル神戸の監督を務めたフアン・マヌエル・リージョも”生徒”のひとりで、2人はレアル・ソシエダで強化担当と監督としてともに戦ったことがある。また、エチャリは監督養成学校の教授も務めるなど、その視点は極めて専門的である。

「森保監督の意図は理解できる」

 戦術マスターはそう言って、トリニダード・トバゴ戦の分析を始めた。

トリニダード・トバゴ戦の前半、積極性が高く評価された中島翔哉「一方のトリニダード・トバゴは4-1-4-1のようなシステムを採用している。基本的にはリトリートし、お互いのカバーを徹底。正面からの攻撃に対して、パワーのある選手を配置し、まずは失点を避け、ダメージを最小限にする戦い方で、序盤はカウンターの機会もほとんどなかった。

 日本は前半、64%のボール支配率を誇ったことからもわかるように、優勢に試合を進めた。

 際だっていたのは、1トップの大迫勇也(ブレーメン)の背後に入った中島翔哉(アル・ドゥハイル)だろう。開始早々、中へ切り込んでのシュートに積極性が見え、その後も次々に仕掛けている。前半7分、左サイドから逆サイドの堂安律(フローニンゲン)へ送ったクロスは際どかったし、前半30分、左サイドからリズムをずらして大迫に送ったクロスも質は高かった。