U-20が払った授業料を取り戻す。完勝劇を演出した2つのキープレー (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐藤博之●撮影 photo by Sato Hiroyuki

「(エクアドルやメキシコなどの)海外のチームは、守備組織が成り立っていない。選手個々の守備は強いけど、組織での攻守は日本のほうが上だと思う」

 そう語る藤本は、「自分が試合をコントロールするつもりでやった。狙いどおりのいい試合展開になった」とニヤリ。立ち上がりのピンチをしのいだあとは、日本が試合の主導権を握り、いくつかのチャンスを作り出すなかで、21分に藤本のアシストからFW宮代大聖の先制ゴールが生まれた。

 その後の展開は、ほぼ危なげなかった。

 2点目、3点目と失点を重ねたメキシコは、焦りから雑な攻撃を繰り返し、逆に日本がカウンターから次々に決定機を作り出した。もはややりたい放題と言ってもいいほどに、試合終盤は日本の独壇場となっていた。

 これで1勝1分けの勝ち点4とした日本は、グループリーグ最終戦で、ここまで2連勝で勝ち点6のイタリアと対戦。勝てば1位でのグループリーグ突破、引き分けでも2位での突破が決まる。

 また、イタリアに敗れた場合でも、メキシコ対エクアドルの結果次第で、2位突破の可能性は残り、仮にグループ3位になったとしても、すでに勝ち点4を手にしている日本は、各組3位のなかの成績上位4か国に入り、グループリーグを突破する可能性が高い。つまり、日本は決勝トーナメント進出をほぼ手中にしたと考えていいだろう。

 どこまで通過順位にこだわるかにもよるが、場合によっては、最後のイタリア戦では大きくメンバーを入れ替えることも可能となる。2試合終了時点でグループリーグ突破を、事実上決めたことの意味は極めて大きい。

 それを考えると、試合の流れを大きく手繰り寄せたふたつのキープレーは、単に勝ち点3をもたらしただけにとどまらない。グループリーグ全体の趨勢(すうせい)さえ決めたかもしれない大仕事だった。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る