バルサで世界一になったサッカー選手。茂怜羅オズは大志を抱く (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Sportiva

「日本は今まで全部の本大会に出ていますが、アジアのレベルも高くなっている。イラン、UAE、オマーンといったチームがライバルですね。それでも日本のレベルが一番高いと思いますし、普通にやれば出場権は手にできる。ラモスさんも燃えていますしね(笑)」

 大会前に茂怜羅がこう語っていたように、日本は本来の力を十分に発揮し、見事にアジアの頂点に立ったのだ。

 もっとも、アジア予選はあくまで通過点。茂怜羅の視線は、世界を見据える。

「日本のビーチを盛り上げるためには、ワールドカップで結果を出すことが一番だと思う。そうすれば注目度も高まって、いろいろと変わるはず。簡単ではないけれど、そこを目指してやっていきたい」

 2007年に来日した際には、日本のビーチサッカーのレベルの低さに衝撃を受けた。しかし、あれから12年――、茂怜羅はうれしい変化を感じ取っている。

「何年か前、リーグ戦で対戦した相手のチームは、僕たちに負けた後なのに笑っていた。でも、今はどこのチームもヴェルディを倒そうと、必死になって向かってくる。ビーチサッカーに対する意識が変わってきたのは、うれしいこと。

 だから、ヴェルディは今まで負けたことがないけれど、これからも勝ち続けなければいけない。勝つことで、ビーチサッカーを引っ張っていく。そういう存在であり続けることが、日本のレベルを引き上げると思う」

 損得は二の次。常に全体を見据え、何をすればビーチサッカー界が発展できるかを考えている。その行動や思考は、もはやプレーヤーの枠にはくくれない。

 ブラジルからやってきた、ビーチサッカーの伝道師――。信じた道を突き進む茂怜羅オズに待ち受けるのは、おそらく明るい未来である。


【profile】
茂怜羅(モレイラ)オズ
1986年1月21日生まれ、ブラジル・リオデジャネイロ出身。東京ヴェルディBS所属。6歳からビーチサッカーを始め、地元クラブのヴァスコ・ダ・ガマに入団。2004年から2年連続でブラジル全国大会を制し、2006年にはドイツのウニオン・ブラジルでドイツ全国大会も制覇。2007年に初来日し、2011年に日本国籍を取得する。日本代表としてビーチサッカーW杯に2013年、2015年、2017年出場。世界ベスト5プレーヤーには4度選出されている。ポジション=フィクソ。190cm、90kg。

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