南雄太が語る20年前の準優勝「小野伸二よりうまい選手はいなかった」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai keijiro

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「通常、GKの練習はGKコーチが指導するのが普通ですが、トルシエ監督が(GK練習の場にも)やってきて『あーしろ、こーしろ』と結構指示を出してくるんですよ。それは、新鮮というか、驚きでしたね。たとえば、クロスボールのときは『前に出ろ!』と散々言われましたし、前に出ないと『なんで日本のGKは前に出ないんだ』って、すごく怒られました。

 クロスボールを上げて、2、3人の選手が(ゴール前に)突っ込んでくるなか、GKが前に出るという練習もやりました。その際、(トルシエ監督は)突っ込んでいく選手に対して、『GKにぶつかっていけ!』って言うんですよ。それも、試合の2日前とかに。(そんな練習には)『なんだよ』って思いながらやっていましたけど、まあ若いから(文句も言わず)やれたんでしょうね(苦笑)」

 GK練習だけでなく、トルシエ監督が志向する戦術のベースとなる"フラット3"も独特なもので、習得するのは容易ではなかったという。

「あの当時、"フラット3"でラインをあれだけ高く保つとか、結構前からプレスにいくとか、Jリーグ(のクラブ)でやっているところはなかった。これは、同じメンバーで、時間をかけてこなしていかないと、息を合わせるのは難しいと思いましたね。

 事前合宿でも練習しましたけど、紅白戦とか実戦形式の練習をあまりやらないので、もうひとつ感覚がつかめなかった。大会前の練習試合でもまだしっくりいっていなかったので、(本番が)ちょっと心配でした」

 大会直前の練習試合、フランスのASレッドスター93(現レッドスターFC)とのテストマッチは1-0で勝利したものの、"フラット3"は不安定なままだった。ラインを上下する選手間の呼吸が合わず、相手に簡単に裏を取られた。

 結局"フラット3"の肝であるラインコントロールに大きな不安を残したまま、チームはワールドユースの開催地であるナイジェリアに入った。

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