ドゥンガらブラジルの名手が、アジア杯の日本に足りないと感じたもの (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon  利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 決勝を見ながら、私はドゥンガに電話をした。彼も試合を見ていた。かつてのジュビロ磐田のキャプテンは、私に興味深いことを言った。

「試合はまだ終わっちゃいないが、結果はわかる。日本はこのままじゃ勝つのは無理だ。まるで試合に勝つと信じることを恐れているみたいだ。プロサッカーの世界では、時に"勝つ"という強い気持ちが試合を左右する。スコア、サポーター、ジャッジ、すべてにおいて逆風の吹く中にあっても、プロの選手なら決して希望を捨ててはいけない。

 カタールは自分たちが奇跡を起こすと信じている。日本はそれを許してしまった。アジアカップの決勝で勝つことは、カタールにとっては普通のことではない。にもかかわらず、日本は彼らにその力があると信じさせてしまった。これはあってはならない恥ずべき行為だ」

 試合後にも私はドゥンガと話をし、彼はあらためてコメントを補足した。

「後半15分過ぎから、私は日本の敗戦を予想した。選手たちからは"勝たなくてはいけない"という重圧が感じられた。しかし、本来プレッシャーを感じなければいけないのはカタールのほうだったと思う。

 カタールは開催国UAEと微妙な関係にあるが、それでも同じ中東の国。ホームでプレーしているのも同じだし、次回のW杯の開催国でもある。彼らには勝利が求められていた。一方、日本はリラックスして、今までどおり自分たちのサッカーをしていればよかった。

 しかし試合の前に何かがあったのか、ピッチに降りた日本の選手たちは皆一様に自信のない様子だった。自信のない者は勝つことはできない。これはサッカーに限らず、すべてにおいての鉄則だ」

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