ドゥンガらブラジルの名手が、アジア杯の日本に足りないと感じたもの
どんなふうに日本を褒め讃えよう?
私の一番の心配事は、日本が優勝するかどうかではなく、優勝後にインタビューする人選だった。日本サッカーとつながりの深いブラジル人の少なくとも10人に意見を聞くことができたが、その全員のコメントを載せることはできない。そこで私は厳選し、試合の後に彼らの批評を聞くアポもとりつけた。準備は万端だった。
ただ......日本の優勝だけが足りなかった。
カタールに敗れ、肩を落とすキャプテンの吉田麻也 photo by Sano Miki アジアカップの試合をすべて見たが、あの決勝はあり得なかった。そもそもカタールが決勝にたどり着くなど、普通に考えたらとうてい無理なことだ。この大会にはオーストラリア、韓国、イラン、サウジアラビアといったカタールよりずっとサッカーに長けたチームが数多く参加していた。
ブラジルではいつになく多くの人が、この決勝を興味を持って観戦していた。なぜなら、決勝に残った2チームは、偶然にも6月にブラジルで行なわれるコパ・アメリカに参加することになっているからだ。
日本はアジアカップを戦ったチームのなかでも、抜きん出たいいチームだったと私は思う。決勝で敗れたとはいえ、話を聞いたエキスパートたちも、日本は大会のベストチームで、戦術も、才能も、聡明さも、そしてパスワークの速さもピカイチだったと意見が一致している。
しかし、それでも日本は決勝で負けた。
それはカタールが、この日にかぎって最高のプレーを見せたからだけではない。カタールが称賛に値するチームであったことは確かだ。しかし彼らが勝てたのは、決して自分たちの力だけではない。日本が自滅してくれたからだ。
1 / 5