加速する大迫依存。イラン戦で覚醒した森保Jを素直に喜んでいいのか (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 本来のイランは、技術的にも戦術的にも高い水準にあり、サイドからコンビネーションで崩していくこともできるチームである。ところが、日本に対しての強みを生かそうとするあまり、前線へのロングボールを放り込んでは肉弾戦を挑んできた。

 確かに前半は、それなりの効果を発揮した。とくに20分過ぎからは、日本はほとんどイラン陣内に入ることができず、押し込まれる展開が前半終了まで続いた。

 だが、その一方で、イランもさしたるチャンスは作れなかった。ロングボールはことごとくふたりのセンターバック、DF吉田麻也(サウサンプトン)とDF冨安健洋(シント・トロイデン)にはね返され、効果的な攻撃にはつながっていなかった。

 そして後半11分、イランのカルロス・ケイロス監督曰く、「Innocent(よく言えば、純粋。悪く言えば、お人よし、といったところか)」なイランの選手たちが、インプレー中にもかかわらず、主審への抗議に夢中になるという大チョンボを犯し、そのスキを突かれて日本に先制を許すと、ロングボール一辺倒の攻撃はさらに加速。前がかりになってはセカンドボールを拾われ、カウンターを受ける悪循環に陥った。

 有り体に言うならば、イランの自滅である。

 とはいえ、決勝トーナメントに入って以降、試合内容の悪化が進行していた日本が、この試合では一転、攻守両面でチームとしての高い機能性を示していたのも確かだ。3-0の快勝は、けっしてイランが勝手にコケたことだけが理由ではない。

「(前までの試合と)何が変わったかと言われても......、基本的には変わっていない。勝利にこだわって戦うことは変わらない」

 そう話す森保一監督の表現を拝借すれば、「やるべきベースや理想を持ったうえで、試合の現実と向き合って、(攻撃的か守備的かの)どちらかだけでなく、いろんな戦いを臨機応変に」やっている結果が、ときに辛勝であったり、ときに快勝であったりするだけのことなのだろうが、少なくとも過去2戦よりは、格段に試合内容はよくなっていた。

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