森保Jを待ち受けるリーガの名将。選手の胸を強烈パンチして送り出す (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by AFP/AFLO

 もっとも、ゴールの確率が上がって勝利につながるなら、ファンタジスタにも居場所を与えている。その点、頑迷な指揮官ではない。マジョルカではファン・カルロス・バレロン、バレンシアではパブロ・アイマールを起用。その才能を生かし切っているのだ。

 UAEで開催されているアジアカップを戦うウズベキスタンにも、クーペルの色はすでに出つつある。

 トルクメニスタン戦の先制点は、自陣でのボールを奪い返し、一度もスピードダウンせず、コンビネーションを使い、電光石火の速さのフィニッシュだった。2点目も、自陣でボールを取り戻したあと、1本のパスをFWエルドル・ショムロドフ(ロストフ)につなげ、鮮やかにネットに突き刺した。そして4点目も自陣から1本のパスで、またもショムロドフがDF、GKを外して決めている。

 すでに大会3得点のショムロドフはロシアリーグでプレー。クーペル戦術のカギを握るひとりだろう。高さ、速さを備え、ポテンシャルは高い。まさにクーペル好みのストライカーだろう。

 もうひとり、右サイドのアタッカーであるドストンベク・ハムダモフ(アンジ・マハチカラ/ロシア)も、高い走力を誇る。2015年にはアジア年間最優秀ホープ選手賞を受賞。切り札的な存在になるのではないか。他にオディル・アフメドフ(上海上港/中国)、ヤボヒル・シディコフ(コーカンド/ウズベキスタン)も侮れない。

 監督生活25年のクーペルは老練な指揮官である。日本戦、カウンターの準備はできているだろう。あとはウズベキスタンの選手たちの胸を拳で殴って、ピッチに送り出すだけだ。

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