森保Jを待ち受けるリーガの名将。選手の胸を強烈パンチして送り出す (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by AFP/AFLO

 2018年8月からウズベキスタン代表を率いるクーペルは、その戦術を駆使することができるのか?
 
 クーペルの戦い方は、監督を始めたときから大きくは変わっていない。

 2015年から率いたエジプト代表では、見事にロシアW杯アフリカ予選を勝ち抜いている。このときに確立した戦いも、フィジカルを土台にした堅い守りとカウンターだった。モハメド・サラー(リバプール)という、とっておきの人材がいたことで、カウンター攻撃は迫力満点だった。サラーはまさに、C・ロペスに通じるところのあるアタッカーと言えるだろう。

 FWに走力、得点力を備えた人材がいると、クーペルのチームは真価を発揮している。インテルでスクデットを争っていたときも、"重戦車"と呼ばれたイタリア人FWクリスティアン・ヴィエリがいた。

「ストライカーは中盤に落ちるな!」

 マジョルカ時代、クーペルは大久保に対し、繰り返し注意を与えていた。「前線の選手は相手をノックアウトするために存在している」という考え方だろう。

 攻めに人数は必要ない。どれだけ速く相手ゴールに迫れるか。「ピッチ中央には地雷を埋める」というのが基本戦術で、相手の攻撃を潰し、カウンターの起点とする。攻撃はサイドからできるだけ速くボールを持ち運ぶのが定石。たとえボールを失っても、自分たちのゴールからは遠い、という論理だ。

 やり方がシンプルなだけに、短期間でも結果を出せる指揮官だろう。

 逆に、自らの戦術がはまらない場合は、打つ手がない。ベティス、パルマ、ジョージア代表、ラシン・サンタンデール、アル・ワスル(UAE)などでは、1年も経たないうちに解任(もしくは事実上の解任)されている。所属する選手との相性が出る指揮官だ。

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