森保Jの布陣は変化するか。2つの顔を見せたキルギス戦で残った疑問 (4ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

 ちなみに、その縦パスの受け手については、原口元気(ハノーファー/左ウイング)は以外に少なく、1トップの杉本健勇(セレッソ大阪)と右ウイングの伊東純也(柏レイソル)に偏っている。Aチームの場合でもどちらかと言えば右サイドに攻撃が偏る傾向が強いので、これは森保ジャパンの特徴のひとつと言えるだろう。

 問題は、その縦パスを受ける側のクオリティにある。たとえば杉本は、前半22分に右サイドバックの室屋成(FC東京)からの縦パスをダイレクトで伊東に落とそうとするも、これをキックミス。同じく23分にも室屋から縦パスを受けながら、トラップをミスしてしまいボールロストしてしまっている。

 プレーを重ねるごとに杉本のポストプレーは安定し始めたが、長所が異なるとはいえ、やはり大迫勇也(ブレーメン)と比較すると物足りなさを感じる。とりわけ中央を密集させるキルギスの守備網を破るには、最初に入れた縦パスが収まるかどうかがカギをにぎるため、ここは大きな課題として残った。

 そして、縦パスを入れた後にどのように展開するのかという点については、Aチームとは違った現象が見て取れた。Aチームの場合は、大迫がボールを収めた後に2列目の3人の堂安律(フローニンゲン)、南野拓実(ザルツブルク)、中島翔哉(ポルティモネンセ)がスムースに絡み合い、ダイレクトパスを使いながら中央突破を図るシーンが多い。

 これに対して、この試合ではキルギスが前からプレスをかけずに自陣に引いて守る時間が長かったため、両サイドバックの室屋と山中が高いポジショニングを維持。縦パスを入れた後にサイドに展開するシーンが多かった。

 その結果、Aチームでは少なかったサイドからのクロスが増え、59分間で右サイドから9本、左サイドからは5本が供給されている。とくに右サイドは室屋が4本、左サイドは山中が4本と多く、山中については59分以降も3本のクロスを入れている。

 ただ、こちらもクオリティの部分で課題が残った。山中は後半56分に杉本の頭に合わせ決定機を作ったが、それ以外は不成功。室屋に至っては、1本もクロスを味方に合わせることはできなかった。

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