中村憲剛、守田英正を語る。「僚太とふたりで日本代表のボランチを」 (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 それとふたりに共通しているのは、とにかく人の話を聞けるということ。こちらが何かを伝えたときに、まず素直に聞こうとする。「もういいです」とか、心のなかで「うるさいな」って思っていたりしないんですよね。そういうのって態度でわかるもの。話しかけにくかったり、聞く耳を持っていなかったりすると、プロでは長くプレーできない。これは僕のなかで統計が取れているので、間違いないと思いますよ。

 僚太も、守田も、言えば言うだけ吸収していく。それは練習の動きひとつ見ればわかりますし、試合でも大きく変わってくる。僕だけでなく、監督やコーチ、さらには他のチームメイトから言われたことを吸収して、成長してきているんだと思います。その成長の過程には、本来の彼が持っている能力の高さもあるとは思いますけど、アドバイスされたことを取捨選択して、自分自身をコーディネーションできている証拠だと思います。あとは、ふたりとも勘がいい(笑)。

―― 守田選手には、具体的にどのようなアドバイスをしているのですか?

中村 そこは僚太にかけてきた言葉と一緒です。毎日、声を掛けてアドバイスしているわけではないので、練習や試合で気になったことがあれば、その都度、言うようにしています。たとえば、ポジショニングのことだったり、身体の向き。ポジショニングを半歩下げるだけで、身体の角度を30度変えるだけで、見える視野が劇的に変わったりする。

 あとは対戦相手をしっかり見ること。そこを意識して、自分の立ち位置を決めろということも言いました。自分がこうしたいからというのではなく、相手や試合の状況を見たうえで、ポジショニングを考えろと。ちょうどいいところにいれば、自ずとボランチにボールは入ってきますから。

 他にも連続して動くこととか......挙げればキリがないですよね。でも、今言ったようなことを、いっぺんに言うとパンクしてしまうので、ひとつずつ言うようにしています。ひとつができるようになったら、また次、それができるようになったらまた次。忘れてしまっていたら、同じことをもう一度、といった感じですよね。

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