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なぜ森保ジャパンは見ていて
楽しいのか。主な要因は3つある (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 後半69分のプレーが好例だ。中盤で相手ボールをカットしたMF遠藤航が、右サイドでドリブルを開始。相手の寄せが甘いと見るや、そのまま前進し、相手DFラインの背後に走り込んだDF酒井宏樹へとスルーパスを通し、決定機を作り出している。遠藤が足を止めてスルーパスを狙っても、酒井はこれほど楽に裏を取れなかったはずだ。

 ふたつ目は、攻撃がシュートで完結していたことである。

 何となく攻め込んではいても、パスをつないでいる間にミスしてボールを失ったり、相手にカットされたりして攻撃が終わってしまうと、どうしても消化不良感が漂う。そうなると、攻撃にリズムも生まれない。過去の日本代表ではよく見られた傾向である。

 ところが、今の代表選手たちはただ攻め込むだけでなく、シュートで攻撃を終えていた。要するに、何のために攻めているのか、その目的がはっきりしていたということだ。

 この試合で、中島は4本のシュートを放っているが、なかでも、FW大迫勇也のゴールにつながった"技あり"のシュートは効果的だった。

 ペナルティーエリアのすぐ外でパスを受けた中島は、目の前に集まってきた相手選手を抜くのではなく、ドリブルで少しだけズラし、わずかに空いたコースを狙ってシュートを通した。こうしたシュートはスピードがなくとも、GKにとっては反応しづらく、防ぐのが難しい。案の定、ウルグアイのGKフェルナンド・ムスレラは、どうにかこのシュートを弾いたものの、こぼれ球を大迫に押し込まれている。

 ゴール前に相手選手が集まっていると、どうしてもワンツーなどで突破を狙いたくなるが、あえて抜かずにシュートを狙うことで得点につなげた。最優先すべき選択肢はシュート。それを強く意識していることがうかがえるプレーだった。

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