2018.10.18

「バックアッパー」とはおさらば。
急激成長で遠藤航の渡欧は吉と出た

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 主役となったのは、驚異的なクイックネスと積極性で世界レベルの守備陣を翻弄し続けた、小柄な2列目トリオだろう。強靭なフィジカルを武器に最前線でボールを収め、見事なゴールを決めた大迫勇也(ブレーメン)もメインキャストに含まれる。

ウルグアイ戦で縦横無尽の活躍ぶりだったボランチの遠藤航 しかし、主役を輝かせるには、優れた脇役の存在が不可欠だ。今夏のワールドカップでベスト8に進出した南米の強豪ウルグアイとの一戦で、名バイプレーヤーとしての存在感を放ったのは、ロシアの舞台で悔しさを味わった遠藤航だった。

 先月に行なわれたコスタリカ戦に次いで、ボランチの位置でスタメン出場した遠藤は、立ち上がりから積極性を示した。開始2分に右サイドの酒井宏樹(マルセイユ)にスルーパスを通して最初のコーナーキックを獲得すると、その後も広範囲に動いてボールに絡み、南野拓実(ザルツブルク)や大迫にクサビを打ち込んでいく。ボールを持てばシンプルに前につける遠藤の縦パスが、攻撃のスイッチとなっていたのだ。

 遠藤がこの試合のテーマとしていたのが、まさにこの「縦への意識」だった。

「縦の意識は持っていたので、チャンスになったシーンもあった。もっと横に落ち着かせるシーンも作れればよかったかなって思いましたけど、前半から『前に、前に』っていう意識は持っていました」

 これまでの遠藤といえば、今季途中まで所属した浦和レッズで主にセンターバックを務める一方、サイドバックやボランチもこなすユーティリティプレーヤーであり、攻撃よりも守備職人のイメージが強かった。ロシアワールドカップのメンバーに名を連ねたものの、バックアッパーの域を抜け出せず、世界の舞台に立つことはできなかった。汎用性は高く、使い勝手はいいが、突き抜けたものがない。それが、これまでの遠藤に対する評価ではなかったか。

 そんなレッテルを振り払うべく、今夏にベルギーのシント・トロイデンに移籍を決断。海を渡ってまだ2カ月ほどしか経っていないものの、その選択はさっそく、遠藤にとって吉と出ているようだ。