露呈した限界。「乾、香川からのアドリブ」が西野ジャパンの戦術だった (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 今の日本代表は西野朗監督就任以降、急速な変化を遂げた。ワールドカップ前の国内最後のテストマッチとなったガーナ戦は、ほとんど見るべきもののない試合だったにもかかわらず、その後の短期間で、驚異的なまでにチームとしての機能性を高めていった。

 その中心にいたのが、MF乾貴士であり、MF香川真司であろう。彼らが生み出す連係が次第に周囲を巻き込んで広がり、チームがチームとして機能するようになっていった。

 だが、それは西野監督が考える戦い方を地道にイチから落とし込んでいった成果ではなく、選手同士の感覚による"アドリブ"に頼ったものだった。だからこそ、選手たちは気持ちよくプレーでき、短期間でも共通理解を築き上げることができたわけだが、選手の感覚頼みの即興では"誰が出ても同じことができる"ようになるはずもなかった。

 まして一気に6人も入れ替えたのでは、今までと同じようにチームが機能するはずもない。図らずも、それを証明したのがポーランド戦だった。

 日本はコロンビア戦、セネガル戦と、2戦続けて非常に内容の濃い試合をした。だが、それを実現させるためには、ある程度固定したメンバーで戦い続けるしかないことがはっきりした。決勝トーナメント1回戦のベルギー戦へ向け、西野監督の手中にある選択肢はもはやそれほど多くない。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る