崖っぷちに立つ香川真司。「日本の10番はオレだ!」と証明できるか (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Koji Watanabe/Getty Images

 香川は2月の負傷から、ほとんどプレーをしていない。ドルトムントではベンチ入り1回、出場はブンデスリーガ最終節の15分間のみだ。厳しい状況であることは間違いない。しかも、直近の2回の日本代表欧州遠征ではメンバーから外れている。昨年11月は不調が原因、今年3月は負傷と、それぞれ理由は違うものの、ハリルホジッチ監督のままであれば、この段階でメンバーに入っていたかどうかも危うかった。

 香川が活きるか活きないかは、監督やシステムとの相性によるところが大きい。どの監督のもとでも活躍してきたわけではなく、極端に能力を発揮できる場合とそうでない場合がある。

 今季のドルトムントでのプレーを見てもそうだ。開幕当初に指揮を執っていたペーター・ボス監督のもとでは目立った活躍もなく、控えに甘んじていた。ところが監督がペーター・シュテーガーに代わると、一気にチームの救世主に転じた。その落差が激しいのが問題ではあるのだが、要するにハマればピカイチなのだ。

 活かすも殺すも監督次第。西野監督はそんな香川のケガを「選手生命を左右する」と言い、起用に消極的な姿勢をにじませる。一方の香川は「そこまで重くない」と言う。このあたりの認識の違いがどうして生じているのかはわからない。

 ただ、香川としては、シュテーガーが指揮を執り始めた頃のイメージを持ったまま、ケガから今まさに復調しているということなのだろう。難しい状況ではあるが、"監督次第の選手"という現状を打破しなくてはいけないのかもしれない。

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