なでしこ、華麗なサッカーで中国を粉砕。優勝かけ豪州とガチンコ勝負

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 女子アジアカップ準決勝は、華麗さと粘りの両方を持ち合わせる、なでしこらしさが前面に出た試合展開となり、日本が3-1で中国を退け、2大会連続の決勝進出を決めた。

勝利を決定づける得点を挙げ、笑顔でベンチに駆け寄った横山久美勝利を決定づける得点を挙げ、笑顔でベンチに駆け寄った横山久美 開始から岩渕真奈(INAC神戸)の気迫は凄まじいものがあった。宇津木瑠美(シアトル・レイン)の縦パスを受けると挨拶代わりのドリブルで突破。前半に勝負をかけようとしていることがこのワンプレーから伝わってきた。自らのフィニッシュだけでなく、ワンタッチやダイレクトパスを駆使して変化をつけながら周りを生かしてゴールを狙う。

 岩渕は初戦のベトナム戦から連続スタメンでフル出場している。試合を重ねるにつれて、疲労は溜まっているはずだが、前線からトップスピードでプレスに走り、時にはペナルティエリアにまで下がる献身ぶり。彼女を動かしているものは、"エース"の誇りと責任だ。それだけ目に見える形で指揮官から期待を寄せられてきた。それに報いる先制弾だった。

 39分、隅田凜(日テレ・ベレーザ)が何度もトライしていた縦パスが、完璧な状態で岩渕の足元におさまる。素早くターンすると、そこからは岩渕の十八番であるドリブルで、ゴールまでの道筋はひとつ。「いい時間に決められてよかった」(岩渕)と、責任を果たしたエースの表情は穏やかだった。

 そしてもう1人、よろこびを爆発させたのが横山久美(フランクフルト)だ。出場機会が、なかなか巡ってこないなかでも、毎日の練習後には最後までFK、シュート練習を続け、キックの精度を高めていた。

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