だから言ったのに...。ハリルの無計画な選手起用、これでは勝てない (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 それはハリルホジッチの場当たり的なメンバー選考に起因する。「2018年6月から逆算できていない」と、これまで口が酸っぱくなるほど指摘してきたが、それがいま、白日のもとに晒された状態にある。

 中心選手と言われて即、連想するのは長谷部誠だ。ハリルホジッチから「キャプテンらしい選手」と称される経験豊富なベテランが、後半15分、ピッチを退いたのはどういうわけか。お疲れ様的な意味合いのある交代でないことは確かだ。三竿健斗を試してみたかったこともあるだろうが、それ以上に、肝心のプレーに問題が目立ったからだと思う。

 前半終了間際、長谷部が右サイドに送った横パスは、相手への完璧なプレゼントパスになった。一気に自軍ゴールまで運ばれ、あわやというピンチを招くことになった。こうしたあってはならないレベルの低いミスを、中心選手が犯してしまうところに日本の問題が潜んでいる。

 所属のフランクフルトでそうであるように、相手のプレッシャーを浴びにくい最終ラインでプレーするなら、長谷部はベテランらしさを発揮できるかもしれない。だが、中盤を任せるのは厳しい。長谷部が務める守備的MFは、現代サッカーにおいてはチームのヘソ。まさに司令塔のポジションだ。キャプテンシーだけでは務まらない、高度で難しいポジションになっている。

 ここが決まらなければ、チームは熟成していかない。なにより試合運びに問題が出る。いいリズム、いい流れは期待できない。自分のプレーに汲々(きゅうきゅう)としている34歳のベテランに、この役が難しくなっていることは、すでにわかっていた話だ。後任を誰にするか、もっと早い段階から探っておかなければならなかったのだ。

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