中国も一蹴した、なでしこジャパン。ただし、新システムはドタバタ (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 攻撃では、1トップの田中が格好の標的になっていた。ボールを持てばすぐさま複数人に囲まれる。それは、単純なサイド攻撃では打開できないことを意味していた。田中は幾度もアップダウンを繰り返し、ギャップを生み出そうとしていた。そこへ阪口や中島が絡み、なんとか左サイドは形になってきた。

 しかしその結果、居場所がなくなったのが猶本だった。阪口、隅田のポジションから見ても、1トップの田中をサポートするのは攻撃を得意とする猶本が適任だった。ところが、なんとか相手の間でボールを受けようと動くも、ボールが出てこない。左サイドが仕掛かれば仕掛けるほど、右サイドは動きを失っていった。前半の右サイドはほとんど機能しなかったと言っていい。もったいない45分になってしまった。

 前半の混乱は複数の要因によってもたらされたものだったが、通常通りの4-4-2に戻した後半が改善されたかといえばそうではない。無駄なバタつきがなくなった分、安定したように見えるが、今度は落ち着き過ぎた。中国が食いつく範囲を絞っているために、簡単に侵入を許してはもらえない。

 ようやく万屋美穂(ベガルタ仙台L)、大矢歩(愛媛FC)らのオーバーラップが見られるようになったが、日本のパターンを掴んできた中国守備陣はフィニッシャーを一気に潰してくる。日本は籾木結花(日テレ・ベレーザ)を投入するなど、さらなる機動力でゴールを狙うも最後の一手を欠いた。

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