中国も一蹴した、なでしこジャパン。ただし、新システムはドタバタ (4ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 それでも終了間際には阪口が奪ったボールを前線へ出し、素早く反応した岩渕真奈(INAC神戸)がフリーで受けるチャンスを演出。しかし岩渕のシュートは枠を外れていった。これは決めなければいけないゴールだった。結局、このままホイッスルが鳴り、日本は田中の挙げた1ゴールを守って逃げ切った形になったが、選手たちの表情は一様に重かった。

 終わってみれば、よくぞ田中のゴールが実ってくれていたと思わずにはいられない。4-4-2に戻してからは何が何でも追加点を奪わなければならなかった。これまで重ねてきたことをここで出さなければならなかったはずだ。中国のプレスで潰されるようであれば、世界と肩を並べることなど到底かなわない。

 唯一の明るい材料は、無失点に抑えたことだろう。これまでのなでしこならば、得点後や終了間際という集中力を要するタイミングでゴールを許していたかもしれない。しかし、この日はボールホルダー複数人で囲い込む場面もしばしば目にした。もちろん、そこまでにボールを入れさせないことが望ましいが、それでも同じタイミングで複数人が反応を示し、結果防ぎ切ったことは、取り組み始めたばかりのラインコントロールなども含めて、この90分で形になったもののひとつだ。

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