香川真司が日本代表で抱える
2つの危機感。「もっと監督と話を...」

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 ニュージーランド戦とハイチ戦を終えて、香川真司にはいま、ふたつの危機感があるように見えた。ひとつは日本代表での自分の立場についての危機感。そしてふたつ目はチームとしてのパフォーマンスへの危機感だ。

 チーム内での立場についての危機感は、選手であれば多かれ少なかれ感じるものだろう。それでも10番を背負う者であれば、本来はそんな感情から縁遠くなくてはいけないはずだ。チームのパフォーマンスに関しては、逆に、自分はこのチームの中心だという自覚があってこそ生まれた危機感と言っていいだろう。かつての香川からはなかなか感じられなかったものだが、最近、それをようやく言葉にして表現するようになった。

ハイチ戦では59分から出場、同点ゴールを決めた香川真司ハイチ戦では59分から出場、同点ゴールを決めた香川真司 香川が自分自身の置かれた立場に危機感を抱くのは無理もない。6月のシリア戦で左肩を脱臼して退場したのを皮切りに、以後の最終予選3試合は出場なし。W杯出場を決めたオーストラリア戦ではベンチ入りしたものの出場はなく、アウェーのサウジアラビア戦ではメンバーから外れ、予定を早めてドルトムントに戻っている。

 その頃、ドルトムントの試合では、負傷からの確実な復帰を目指すため「段階的に出場時間を増やすと監督から話をされている」と、香川が明かしていた。日本代表でも同様にある種の"温存"と解釈することもできた。そうぶつけてみると、本人は否定した。

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