スペインの知将がサウジ戦を叱る。「日本は中盤の距離感が悪すぎた」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 サウジの狙いはショートパスを主体に、『PASILLO INTERIOR』(DFとMFの間の横に伸びる通り道)でボールを受ける機会を増やす、というのが主眼だろう。危険なチームという印象だ。決定力のあるストライカーがいたら、より脅威になるはずだ。

 これに対して日本は、直前のオーストラリア戦と同じ4-3-3(4-1-4-1)で対抗。先発メンバーを4人替えたが、前線からの激しいプレスを基調にした戦い方は同じだった。

 しかし、足並みが揃わず、効果的なプレスがかからない。初手でつまずいた。

 その理由としては、まず中盤の山口蛍、井手口陽介、柴崎岳の3人の距離感が悪かったことが挙げられる。両ワイドの本田圭佑、原口元気との距離感も適切ではなかった。結果、例えば本田が敵の左サイドバックをはめにいくと、それに応じて柴崎がダイアゴナルのコースをカットしにいくのだが、すると山口の周辺のスペースが広がり、そこを使われてしまった。

 長谷部に代わってアンカーに入った山口は、インサイドハーフとの連係に苦しんでいた。不用意に自分のポジションを捨て、サイドまでボールを取りにいってしまう姿が見られ、中盤のバランスはないに等しい状態になった。攻撃のビルドアップの場面でも、山口は迅速に受け手のポジションを取れず、スムーズな攻撃に転じられなかった。コンビネーションプレーがノッキングした。長谷部の不在の影響は明らかだった」

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