スペインの名将が豪州戦を分析。
「サッカー戦術の教材として最適だ」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

「戦術の研究材料としては最適のゲームだった」

 ミケル・エチャリ(70歳)は、試合を簡潔に表現している。エチャリはスペインで指導者ライセンスを与える教授役でもあり、ウナイ・エメリ、ガイスカ・ガリターノら大勢の弟子がいる。その彼が、8月31日に行なわれたW杯アジア最終予選、日本対オーストラリアをスカウティング。「タクティカルゲームの教材」と言い切った。

 では、両チームはいかにして戦術をぶつけ合ったのか? スペインの慧眼(けいがん)の解釈から、ロシアワールドカップに挑むハリルジャパンの現在地が見えてくる。

選手交代も奏功、ファンに勝利を報告するハリルホジッチ監督選手交代も奏功、ファンに勝利を報告するハリルホジッチ監督「日本とオーストラリアは昨年10月にも戦っているが、今回は両者ともまったく違ったシステムを選択している。日本は4-2-3-1ではなく4-3-3を採用。両サイドの浅野拓磨、乾貴士が献身的な守備を求められたことを考えれば、4-1-4-1とも言える。一方で、オーストラリアも4-4-2からサイドに起点を作ろうとする3-4-2-1へと、がらりとやり方を変えてきた。

 試合は日本ペースで始まっている。前線からのプレス強度が高く、敵陣内からボールを出させない。ボランチ2人に対しても、インサイドハーフの井手口陽介、山口蛍ががっちりロック。序盤は自陣へボールを運ばせなかった。何度かボールを奪い、攻めに回ったものの、ゴールに近づいてからの攻撃精度が低く、その機会を逃している」

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