長友佑都が語る、ザックJとハリルJ。完成度が高いのはどっちだ (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

 最終予選の初戦、日本はホームでUAEに敗れて最悪のスタートを切った。その後、試合ごとにメンバーがコロコロ代わって、チームの軸が定まることはなかった。ハリルホジッチ監督は、自ら志向する"縦に速いサッカー"を体現できるコンディションと調子のよさを優先し、しかも相手のやり方に合わせて試合に臨むメンバーを決めてきたからだ。

 そのため、選手のモチベーションは高まったかもしれないが、長友ら最終ラインの選手たちは、大事な守備の連係面で頭を悩ますことが多かった。実際に今回のオーストラリア戦も、長友の前に位置するインサイドハーフの井手口陽介と、前線の左サイドに入った乾貴士とは、スタメンでは初めて組むことになり、「初めてだとか、どうこう言っていられない」という状況下でプレーした。

 また長友自身、所属するインテルでは、昨季は苦しいシーズンを過ごしてきた。序盤は、スタメンはおろか、ベンチから外れることも少なくなかった。今季もポジションの保証はなく、厳しい競争の中に身を置きながら、代表でも熾烈なスタメン争いの中にいる。

 そうした厳しい状況の中、念願のロシア行きの切符を手にした。そして、おそらく最後になるであろう最終予選を無事に突破できたことが、長友に特別な感情を抱かせ、「格別」と言わせたのかもしれない。

 前回、W杯最終予選に臨んだチームの完成度は非常に高かった。ザッケローニ監督が、メンバーを固定して戦うことでコンビネーションを成熟させ、それが攻守に質の高いプレーを見せる要因のひとつでもあった。その中心にいた長友にとって、今の代表チームの完成度はどの程度だと思っているのだろうか。

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